LPI-Japan
名誉顧問 成井 弦
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インフィニティコミュニケーション株式会社
取締役会長 森井 聡

ITとクリエイティブの融合

森井

まず、成井さまのご経歴を教えて下さい。

成井

私の経歴といっても自慢出来るほどの事はありません。 ただ、私の父親が洋画家だった影響か、昔からコンピュータと映像が融合した世界に強い興味がありました。 私の父、成井弘は、私が小学校に上る前にフランスに行き、藤田 嗣治(ふじた つぐはる)画伯にお世話になり、足掛け5年、フランスにいました。 父は日頃、他とは異なる画風でないと世の中には認められない、と言っていました。 「差別化された絵は、日本にいて、日本の新聞を読み、日本食を食べ…という生活からは生まれない。」と言っていた父の絵は、帰国すると画風が大きく変わり、色彩が美しくなっていました。 そして父は一生、画家として生計を立てました。今でも色々な所で父の絵を鑑賞することが出来ます。

真っ白なキャンバスに自分の想う絵を描き、その作品に見合う価格でお客様が購入して下さる世界は素晴らしいと思いました。 そのような影響もあり、私は学校を卒業後、DECというコンピュータ会社で数多くのIT教育ビデオ教材を制作して販売しました。 「デジタルロジック入門」、「コンピュータネットワーク入門」、「人工知能入門」など数多くのビデオ教材を当時としてはまだ珍しいCGも利用して制作し、販売しました。 ビデオ教材の価格は98万円と高価でしたが、非常に多くの企業が従業員のIT教育目的で購入してくれました。 自分たちが企画・制作したビデオ教材が日本中のIT企業で教材として使用された時は非常に嬉しく思いました。

DECの後、3DCGで一世を風靡したシリコングラフィクス(SGI)と呼ばれるコンピュータ会社に行きました。 SGIはまさにITと映像の融合の世界で急成長をした会社で、SGIのコンピュータはジュラシックパーク、タイタニック、初期のStar Wars等の多くの映画製作に使用されました。

AppleはSGIの世界をコンシューマの世界に広げて大成功をした会社だと思います。 Appleが時価総額で世界最大の企業になったのはSteve Jobs氏がIT+映像及びIT+音楽の世界で他社に圧倒的な優位性を築いたからです。

Jobs氏が生前に「Appleが採用するIT技術者はITに精通していると同時に映像に、またはITに加えて音楽に、精通している技術者を採用している。 これがAppleと他のIT企業及びAppleと他の家電メーカーとの圧倒的な違いだ。」と話しているのをYouTubeで見ました。

現在のコンピュータは全てClient・Server型のコンピューティングスタイルで使用されていると言っても過言ではありません。 そして現在、最も重要なのはクライアント端末にデータをどのように可視化させて表示するか、です。 Webの世界も企業や個人が望むものをどのように端末で見せるかが鍵です。 この世界はIT+映像の世界です。Steve Jobs氏が証明したようにIT技術+映像に詳しいIT企業が、またIT技術と映像に詳しい技術者が、成功する時代です。

LPI-JapanがHTML5プロフェッショナル認定試験の普及に力を入れているのは、IT+映像の世界に多くのIT技術者が進んで欲しいからです。 また今まではWebデザインのみをしていたクリエーターの人たちがHTML5を学ぶことによりプログラミングも出来るようになって欲しいからです。 プログラミングなどロジカルな事を司る左脳を駆使するIT技術者でも、クリエイティブな事を司る右脳を有しています。 HTML5言語はIT系の人でもクリエイティブ系の人でも自分が頭に描くことを可視化するのに最も入りやすい言語です。

Steve Jobs氏の優れた点のもう一つはオープンソースの重要性を経営の主軸に据えた点だと思います。 Steve Jobs氏はFlashが全盛の時代に、「これからはHTML5が重要だ」と述べ、Appleの全製品をHTML5対応にし、Flash対応にはしませんでした。 その理由は、FlashはAdobe一社が作った規格です。またFlashを稼働するのに必要なプラグインソフトはAdobeのクローズドソースソフトです。 一方HTML5 は誰でも参加できるW3Cと呼ばれるNPOが作る規格です。 そこにAppleが入って規格づくりに貢献すれば、Appleにもメリットがあると同時に、W3Cコミュニティ全体にもメリットがあります。 また、Appleが使用するブラウザーSafariの中核であるWebKitはオープンソースソフトです。 現在、世の中で使われているInternet Explorer、Chrome、Firefox等のブラウザーもWebKitをベースに作られたブラウザーです。 このようにAppleはオープンソースの考え方を企業の経営の主軸に据えて成長した企業です。

これらの点は日本のIT企業やIT技術者が差別化を築く上で多くを学べると思います。

森井

本当に会社の発展って属人化されたものだったのですね。日本は内部統制・コンプライアンスなど縦割り世界の中でスペシャリスト集団ではある。 それが最初っからボーダーが外れている。スタートから負けていますね。

成井

そうです。James Cameronという映画監督がいますね。 彼は星の数ほどいる映画監督の中で、売上高1位と2位を彼一人で取っています。(1位がアバター・2位がタイタニック)彼は元々右脳の人です。 でもある時点で彼はITの世界に入り、3D CGに目覚めました。その中で経験を積み、IT+クリエイティブで他の追随を許さないレベルに到達しました。 今の時代に重要なのは、映画監督でもIT+クリエイティブというのが圧倒的な優位性を生むということです。 でも今の日本では、多くの学校や教育プログラムがWEBプログラマーとWEBデザイナーのカリキュラムを分けています。 これは良くないと思います。 やはりクリエイターがHTML5を勉強してプログラミングも出来るように、またプログラマーがクリエイティビティを磨くことにより絵コンテも制作できるような教育をすべきだと思います。

森井

私もデザインのためにスクールに通いました。InDesignとかPhotoshopとか。基本だけでいいんですよね。

成井

ええ。森井社長のようにデザインに興味を持つIT技術者を時代が求めていると思います。 またIT+Creative Workの両方が出来る企業も少ない。 しかし、この両方を扱える人と企業を世の中は求めている。 それ故に両方出来る企業と人はプレミアムの価値を持つ時代です。 Steve Jobs氏はそれをAppleで実践し、実践した故に、Appleは時価総額世界一のプレミアム企業に成長したと思います。

オープンソースソフトの重要性

森井

なるほど。では一般論ではプログラムを学んだ人がIT業界で活躍できるとされていますが、実は、クリエイティブな音楽だったり映像だったりを学んだ人こそが、IT業界で活躍できるチャンスだと。

成井

そのチャンスは大いにあると思います。

日本のIT技術者にとってクリエイティブな分野が重要なのに加えてもう一つの重要な分野はオープンソースでの力です。 その理由は、世界の最先端を行っているITシステムは、ほぼ100%オープンソースで作られています。 例えば、最も高度なコンピュータと位置づけられるスーパーコンピュータの97%はオープンソースソフトであるLinuxで稼働しています。 それから我々が身近に使用しているGoogle、Yahoo、Amazon、楽天、クックパッドなどのIT基幹システムもLinuxを使用しています。 一方、Windowsを使った世界最先端のIT基幹システムは非常に少ないと思います。 その理由は、Windowsは多くの人が使用できますが、自社の目的に合わせてWindowsそのものを変えることはできない。 つまり、ユニクロの服で、色も形状も変えてはいけないという条件下でファッションコンテストに出ても優勝出来ないのと同じです。

森井

完全に情報に差がありすぎますよね。オープンソースとクローズドソースでは。

成井

おっしゃる通りだと思います。どうして日本でIT技術者が減ってきてしまうかと言うと、本当に探究心のある人は、クローズソースだけ勉強していても面白くないからです。 残念ながら、日本のIT教育の大半はWindowsとかOracleなど業界標準になったクローズドソースの「使い方」の教育です。 WindowsやOracleの中身は秘密にされていますのでその仕組みを教えることが出来ません。 オープンソースのLinuxやPostgreSQLを教えている所もありますが、これらのソフトの使用法のみを教えている所が大半だと思います。 理由は現在の先生が学生の頃に教えられたのがWindows、UNIXやOracle等のクローズドソースソフトの使用法のみで、これらのソフトの仕組みまでを勉強していません。
オープンソースソフトは全ての情報が開示され、優れたユーザが改善するためのソフトを無料でコミュニティーに提供することにより良くなります。 自分または自社が提供したソフトが最も良ければそれが次のバージョンに自分または自社の名前と共に組み込まれます。 そして提供したソフトが次のバージョンに組み込まれればそのソフトが関連する分野に於いては貢献者が最大の便益を通常得ることが出来ます。

この最大の貢献者が最大の受益者になる仕組みはモバイル機器に利用されるアンドロイドとサムソンの関係で理解出来ると思います。 アンドロイドもオープンソースソフトです。 このアンドロイドを良くする為の貢献度で最も高いのがサムソンです。 言うならばアンドロイドを良くするための貢献の競争に最も勝ったのがサムソンです。 その結果としてサムソンの端末がアンドロイド上では最も効率良く動くことになり、 当然のことながらサムソン製のスマホがアンドロイドの分野では世界で最も高いマーケットシェアを取ることになります。

このような貢献をベースにしたオープンソースの新たなビジネスモデルを理解している日本の経営者や技術者はまだ非常に少ないのが現状だと思います。 要するに全ての情報が提供されているオープンソースソフトであるが故に成立するビジネスモデルの理解度を高める必要があります。

お金に変えられない技術者としての喜び

森井

オープンソースを使うことでの社会貢献というのがビジネスに密接していますね。では、Linuxの魅力は?

成井

前にも言いましたように、ソフトの中身が全部わかる。 自分の目的に合わせたLinuxが構築できる。 それ故に、それぞれの目的に合わせたパフォーマンスが圧倒的に優れたソフトを作ることが出来ることが魅力だと思います。 同時にライセンス料金は多くの場合無料なのも魅力です。 それと同じように魅力なのは、Linuxを勉強することが先ほど述べた、言うならば、オープンソースムーブメントが創りだした新たなビジネスモデルを理解することに繋がる点だと思います。

森井

技術者として認められるというわけですね。

成井

はい、自分がコミュニティーに提供したソフトが貢献の競争に勝ち、Linuxの中に名前と共に組み込まれるのは、まさにノーベル賞級の達成感をプログラマーとして味わうことになります。 それはお金に変えられない技術者の喜びとして末永く残ります。芸術家の名前は作品と共に永遠に残ります。 しかし、企業で働くプログラマーの名前は自分の作品と共に末永く残ることはありません。 知的所有権は基本的に企業にあり、プログラマーにはありません。 しかし、Linuxの場合は自分の提供されたソフトが採用されれば10年後だろうが20年後だろうが貢献者としての名前は永久に残ります。 これがLinuxの魅力の一つであり、世界中の優秀なプログラマーがLinuxを良くするための貢献の競争に参加する大きな理由です。 このような魅力はクローズドソースの世界ではありません。

そしてこのような貢献の競争に参戦できるような技術者を日本の教育機関に養成して欲しいと思います。

プログラマーのクリエイティブ活動が評価される世界

森井

エンジニアとして私が現場に出ていたころに思ってたのは、エンジニアって結構孤独なんですよね。 一人で問題解決までしなければいけない。 それがエンジニアだと思っていたんですが、今の話を聞くと、エンジニアこそが、オープンソースというものを媒介にして、こんなに他のエンジニアと繋がることができるんだ、 コミュニケーションが取れるんだということが存在したんですね。

成井

クローズドソースの世界での技術者は孤独だと思います。 社外に相談すること自体が企業秘密の漏えいに繋がりますから。 またクローズドソースの世界では自分が素晴らしい仕事をしてもそれを外部の人や、ユーザが、褒めてくれることは殆どありません。 その意味でも社長がおっしゃるように孤独だと思います。

しかし、オープンソースの世界は孤独とは別で、外部の人達との連携をベースに成り立つ世界です。 オープンソースの世界のリーダーに求められる重要な能力は、ソフトパワーです。 外部の人達の能力をいかに相手に対して指揮権を持たず、また相手に金を払わずして引き出すことが出来るかが重要な能力です。 これをソフトパワーと言います。この能力が重要な世界です。

プログラミングと言うのはある意味で小説を書いたり作曲したりするのと同様にクリエイティブな活動です。 特にどのようなアーキテクチャーにするべきかを考える時は右脳を活用しているのではないでしょうか。 そして、小説家とか音楽家というのは、その人がどういう会社に所属していようが、賞賛を浴びるのはクリエイターです。 エイベックスに所属する歌手が有名になって、ファンがつくのはエイベックスにつくのではなくて、その歌手につきます。 ところがプログラマーはそうではありません。

米国の著作権法ではWork for Hireと言いますが、要するに多くのプログラマーは、企業に雇われてソフトを作ります。 このような場合、知財は雇用主が持ち、プログラマーの名前が表に出ることはまずありません。 そうなると、優秀なプログラマーは孤独に感じフラストレーションがだんだん溜まっていきます。 そのような優秀な技術者が、例えば、自分の能力の80%を昼間の勤務時間に使って、家に帰ってから120%の能力を使ってLinuxの改善に貢献します。 そして良いプログラムをコミュニティーに提供すれば、あなたのコードは素晴らしいというコメントが来るのです。 そしてそのコメントを書いてくれる人は、その分野においては著名な人ですから、自分の上司から貰うお褒めの言葉より意味があります。

そして最終的に自分のプログラムが貢献の競争に勝てば次のバージョンのLinuxには自分のプログラムと共に自分の名前がソースコードに入り世界中に配布されます。 それが自分の能力に対する社外の人の賞賛に繋がる訳です。 これを企業レベルで行えば自社が提供したプログラムが採用された分野に於いては他者と比べて自社が圧倒的な優位性を築くことが出来ます。 アンドロイドの世界に於いてサムソンが貢献の競争に勝ち優位性を築いたビジネスモデルはLinuxの世界でも同じです。 Linuxのある特定の機能に限定した分野でもその分野に於ける貢献の競争に勝った企業がその分野では優位性を築くことが通常はできます。

森井

なるほど。そこを実現させていくには、経営者の理解というのが絶対的に必要ですね。

成井

そうなのです。

森井

成井さまがリスペクトされているエンジニアっていますか?

成井

やはり、エンジニアでありビジネスマンということで言えば明らかにSteve Jobs氏です。 彼はOpen Source Movementが創りだした新たなビジネスモデルを非常に良く理解しAppleの経営に利用した人だと思います。 また先ほども言いましたがIT+Creativeの世界が重要であることを早い段階で見抜き、 その分野でAppleの優位性を築き、時価総額で世界最大の企業にした点も素晴らしいと思います。

エンジニアではないですが、IT+クリエイティブで映画界に於いて優位性を築いたJames Cameron監督も素晴らしいと思います。 同様な視点で日本人を選ぶとすれば、「永遠の0」の山崎 貴監督です。 彼は映画のクレジットに監督・SFXの両方を必ず書きます。 三丁目の夕陽などもそうです。 永遠の0を見ると、CGの細かいところまで気配りされていると思います。 このような人は芸術家であると同時にエンジニアでもあると思います。そのような人に私は魅力を感じます。

オープンソースムーブメントが創りだした新たなビジネスモデル

森井

では、今度はLPI-Japanの活動について教えて下さい。

成井

繰り返しになりますが、日本の技術者がITに精通していると言っても、クローズドソースの使い方を理解しているだけという人が大半です。 60年代70年代のIT技術者の方が、コンピュータの本質には詳しいと思います。 その頃は現在のようにある特定メーカーのクローズドソースソフトが圧倒的な強みを持っておらず、それ故にコンピュータが一般消費財化していなかった時代です。 その頃はコンピュータの中身を良く理解していないとコンピュータを使用できない“良さ”がありアセンブラーとは何かから教えていた時代です。 ところが、今はコンピュータがどのようにして1+1=2を計算しているのかを理解していないIT技術者がある意味で大半だと言えます。

しかし、米国の場合、コンピュータの中身をよく理解している先生が多いです。 また最近では中国もOSやDBMSの中身の教育に力を入れています。 それは中国政府がOSSに力を入れているからだと思います。 数年前のデータですがLinuxを良くする貢献の競争に勝つ技術者が最も多いのは中国籍の技術者だとのデータが発表されました。

LPI-Japanは、Linux、PostgreSQL、OpenStack、CloudStack等のオープンソースソフトの技術者の認定活動を通じて日本の技術者をオープンソースの世界に導き貢献の競争に勝てるようになってくれればと思って活動をしています。 そして日本の経営者がSteve Jobs氏のように「オープンソースムーブメントが創りだした新たなビジネスモデル」を理解して欲しいと願い、年間50回近く講演活動をしています。 また、HTML5の認定活動を通じて日本のIT技術者とクリエータがIT+Creativeの世界で活躍してくれればと希望して、活動を続けています。

森井

私もLinuxを触っていろいろと作っているなかで、やはり海外のサイトから技術情報を調べていました。 それが、世界で戦える武器を最初に学んだことにつながっていたんだと気づきました。 そこからシスコだったりソリューションを学んだんだと。それがベースにあったから今があるんだと。

成井

それは間違いないと思います。現在、オープンソースというのはITの世界で戦うベースラインです。 貢献の競争にしてもグローバルレベルの活動ですから、視野が広がります。 ITの世界でオープンソースを知らずに、差別化や優位性を築くのは技術者レベルでも企業レベルでも難しいと思います。

森井

いろんな専門学校でLinuxを学んでいる学生はたくさんいると思うんですけど、 まだ社会に出ていないエンジニア志望の学生や経験の浅いエンジニアにとっては、自分の可能性を世界レベルで広げる最初の入り口ということですよね。

成井

まさにそうです。やはり日本のみならずアジア圏に出ていく力を付けておく必要があります。 技術力の観点から言うと、間違いなくLinuxを始めとするオープンソースソフトを知っておくことが必須です。 しかし、マスコミはなかなかオープンソースの事は扱いません。 基本的にマスコミは知的所有権に基づくビジネスですが、オープンソースというのは全く違った概念のモデルです。 言うならば、オープンソースはコピーライトではなくコピーレフトの世界です。

もう一つ重要な点は、今の企業の経営者は従来型の知財をベースにしたビジネスモデルで成功された方が多い事です。 例えば自社が開発した技術は秘密にし、自分の会社だけで使うとか、あるいはパテント取って、 パテント料を払ってくれる会社と一緒になって差別化・優位性を築くビジネスモデルです。 このようなビジネスモデルで成功された方が現在の社長・副社長・取締役といった場合が多いです。 このような経営者にとって、今までの自分の成功方式を180度否定するようなオープンソースの世界のビジネスモデルはそう簡単には飲み込めないです。 しかし、グローバルに見ると「オープンソースムーブメントが創りだした新たなビジネスモデル」を理解した経営者が率いる企業が伸びていると言えます。 そしてこの新たなビジネスモデルを理解した技術者がグローバルに活躍をしていると思います。

これからIT業界を目指す人たちへ

森井

これからIT業界を目指す人たちにむけてメッセージはありませんか?

成井

よくIoTと言われますが、あれはデバイスの世界以外でも、成り立つと思います。 全ての人間の行動・見解が、ネットとインテグレートすることで成り立つ世界になりつつあります。 ITの世界でそれを本当に理解するにはオープンソースの世界に入らないと判らないと思います。

もう一つ重要な点は、自分の考えをどう世界に広めるのかが今まで以上に重要だと思います。 オープンソースの世界では自分の考えをプログラムに託し、コミュニティーに送ることにより自分の思いを世界に伝えることが出来ます。 またIT業界を目指す人もHTML5を利用して自分の想いを可視化させて世界に発信することも可能です。 今マッシュアップという言葉がありますよね。重要なのはIT+Creativeです。 コンピュータだけをやっていてもダメで、いろんな能力のミックスが理想です。

森井

今後はどういった活動になりますか?

成井

日本のIT市場というのは今後あまり伸びないと思います。 したがって、日本のIT技術者の仕事も国内のみでは増えない可能性が大です。 LPI-Japanでは我々の認定試験を海外にも広めることで日本の技術者の方が海外でも活躍できるようにしたい。 また海外で我々の資格を取得した技術者が日本で働くことにより、双方がよりグローバルになれると思います。 そして今まで以上にHTML5プロフェショナル認定試験を普及させることにより、 IT+クリエイティブの世界で活躍出来るIT技術者やクリエータの養成に役立てることが出来ればと思います。